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2025/12/20 00:00




わたしが生まれたころには、景気のいい時代はすでに遠くて。
「昔はよかった」「あの頃はすごかった」という話だけが、
どこか物語みたいに耳に入ってくる世代として育ちました。

サブカルチャーや小さな店、ローカルな暮らし方が、
いちばん身近な“かっこよさ”として残っていた
のもまたわたしたちの世代だと思います。

大きな会社や巨大なブランドに憧れる気持ちよりも
好きなものと、好きな人たちと、ちゃんと暮らしていけるサイズを探したい。

数字の厳しさや、現実のシビアさも知りながら、 
それでも手仕事や、ゆっくり時間をかけてつくられたものに触れていたい。

そういう、ちょっとわがままなバランスを
模索しているひとりが、わたしでもあります。

服やアートや日用品、旅先で出会ったもの、
ローカルな土地の空気。
ジャンルをきれいに分けるよりも
自分が「いいな」と思ったもの同士を
ひとつの場に並べてみたい。

その混ざり合いの中から、静かに生まれてくる空気を大切にしたい。

physisは、そのための小さな実験室のような場所です。

華やかな成功よりも、毎日の生活の中で、
ふっと深呼吸ができる瞬間を増やしたい。

自分本位かもしれませんが
この店での時間や出会いが、誰かの暮らしの中の、
ごくささやかな "大丈夫" に
つながっていったらいいなと思いながら、
今日もドアを開けています。


話したいことは、
誰かがつくった普通たちのストーリーから
こぼれ落ちてしまったように感じるときでも
今日の自分が"好きだな"と思えることや
会いたいと思う人との時間を大切にして
そこからもう一度
自分の暮らしをつくり直してもいいと思っています。
ということです。

多くのブランドやお店が売っているのは、
もう答えが出た世界観=こう生きれば正解
みたいな完成されたライフスタイル。

でも physis は
「まだ決まりきってない、途中の自分」のまま来てもいい場所。
迷いごと、揺れごとを抱えたまま一緒に考え直していける場所。

景気や時代のせいにせず、
それでも好きなものを選び続けることや、
誰かの"大丈夫"にそっとつながる場所を守り続けることは、
まだわたしたちの手の中に残っていると信じています。

physisが、そんなことを思い出すための、
小さな目印のような場所になれたらうれしいです。

ちょっと早いですが今年も残りわずか。
2025年支えてくださった方々、一緒にphysisをつくってくださっている方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
いつも本当にありがとうございます。

2026年physisはまた新たなことを始める予定です
今やりたいと思うことに素直す突き進みます〜!

どうぞよろしくお願いいたします。


physis 井上愛理