2026/09/15 14:57
先日、京都へ
oiraの次の春夏コレクションを見に行きました。

oira 007/(に)II
twenty seven spring summer collection
p.s. itai
本コレクション「007/(に)Ⅱ」は、第"Ⅱ"章と助詞にあたる"に"です。
これは始まりと振り返りという各助詞としての次"に"、接続助詞としての逆説(〜なの"に")を表します。
そしてただ、駄洒落みたいなコレクションです。
デザイナー髙橋さんより




今回の服を見ていて最初に感じたのは、
装飾しすぎていないこと。
でもシンプルというのとも
少し違うように感じました。
丈や身体との距離感だったり
布の余り方だったり
よく見ると細かなところに
髙橋さんらしい選択がたくさんある。
静かな服というより、
静かに見えるほど
ひとつひとつのディテールが緻密に選ばれているような。
そしてやっぱり、
確かにoiraの感覚の残る服だなと思いました。
今回のコレクションについて
髙橋さんが投稿していた文章の中に

「さりげない優しさという強靭で不可視のスタイル」
という言葉がありました。
これは1998年にエドワード・ヤンが
成瀬巳喜男について書いた文章のタイトルだそうです。
私は映画に詳しいわけでもなく
成瀬巳喜男についても知らないことが多いので、
気になって少しずつ調べてみました。
その中で「不可視のスタイル」という言葉が
とても気になりました。
見えないスタイル。
最初は少し不思議だったけれど、
スタイルがないということではなくて
むしろ、スタイルを見せつけていないのに
作品全体には確かにその人の感覚がある。
ということなのかな、と。
成瀬巳喜男の映画についても
「自然」や「抑制」という言葉で語られることが多いようですが、
ただ自然なわけでも
何もしていないわけでもなく、
自然に見えるけれど
それだけでは説明できない強さがある。
そんな文章を読んでいると、
京都で見たoiraの服を思い出しました。
一見すると静かに見える服。
でも何もしていない服ではなくて、
分かりやすい装飾ではないところ、
丈だったり、身体との距離だったり
細かな部分にoiraらしさが残っている。
もちろん成瀬の映画とoiraの服を
そのまま同じものとして考えることはできないけれど、
私はそこが少し重なって見えたのかもしれません。
そしてもうひとつ。
今回の投稿を見ていて
「久しぶり」
という言葉も気になりました。
亡くなったエドワード・ヤンについて
大久保清朗が書いた文章の中に、
追悼という挨拶よりも
たくさんの記憶を呼び戻すように
「久しぶり」という挨拶を送りたい、
というような一節があります。
「久しぶり」って
もう一度会い直す言葉なんだな、と。
何かひとつのものと久しぶりに出会って、
そこからその時の人や場所だったり
忘れていたことまで一緒に思い出す。
そういうことは確かにあるなと思いましたし
私自身最近久しぶりに出会い直して
色々感じたことがありました。
昔のものをそのまま懐かしむのとは
少し違うような気がします。
もう一度出会ったときには
自分も前とは少し変わっていて、
知っているはずのものなのに
初めて見るように感じることもある。

そしてエドワード・ヤンの映画
『ヤンヤン 夏の想い出』の中には、
「なぜ私たちは“初めて”を怖がるのだろう。
毎日は初めてなのに」
という言葉もあります。
久しぶりと、初めて。
一見、反対のような言葉だけれど
考えていると少し近いところにあるような気がしました。
過去ともう一度出会うことと、
まだ知らないものに初めて出会うこと。
成瀬巳喜男をエドワード・ヤンが見て、
そのヤンを大久保清朗が振り返り、
その言葉たちが今、oiraのコレクションのそばにある。
私もそれを見て気になって
調べたり、考えたりして
また京都で見た服のことを思い出している。
こうやって何かが人から人へ渡っていくのも
面白いなと思います。
それは何か(に)向かっていくことなのかもしれないなども思いまし。
ただ、ここまで色々と書いておきながらも
背景を知らないと
この服が分からないということでもないと思っています。
むしろ実際に着てみたときに
その人がどう感じるのか。
以前、髙橋さんとお話ししたときに
「服は人との対話」
「人が着てくれた時が嬉しい」
と話していたことを思い出しました。
その言葉は今も印象に残っています。
京都で見た服たちが
今度は福岡、physisにやってきます。



oira 007/(に)II
twenty seven spring summer collection
at physis
9/19(土)– 9/23(水)
13:00 – 19:00
🌖 9/19(土)のみ 13:00 – 23:00
oiraを以前から知っている方も、
今回初めて見る方も。
「久しぶり」と「初めて」の間で、
実際に袖を通して
それぞれに感じてもらえたら嬉しいです。


